「子どもの歯がグラグラしているけどなかなか抜けない…」と心配になる保護者は多いものです。乳歯は自然に抜けて永久歯に生え変わるのが基本ですが、なかなか抜けないケースもあります。原因を知り、正しい対応を取ることで安心して見守ることができます。
1. 乳歯が抜けない原因
乳歯が抜けにくいのにはいくつかの理由があります。
-
永久歯の位置がずれている
本来、乳歯の真下にある永久歯が少し斜めに位置していると、乳歯の根をうまく溶かせず、なかなか抜けません。 -
永久歯が欠損している
統計では日本人の約10人に1人が「先天性欠如」といって永久歯が存在しない場合があります。このとき乳歯は長く残る傾向にあります。 -
永久歯が深い位置に埋伏している
永久歯が骨の中で深く眠っていると、乳歯が揺れても完全に抜けるまで時間がかかります。 -
乳歯の根が吸収されにくい
通常は永久歯が近づくと乳歯の根が溶けますが、体質や歯の形によって根が残りやすいお子様もいらっしゃいます。 -
外傷や虫歯の影響
転倒や虫歯で歯が弱っていると、生え変わりがスムーズに進みにくいことがあります。
2. 自宅でできる対応
-
歯や口の中を清潔に保つ
-
無理に引っ張らず、自然に揺れるのを待つ
-
食事は固いものを避け、痛みがある場合は冷たいタオルで軽く冷やす
保護者は「抜かなきゃ」と焦る必要はありません。まずは清潔に保ち、自然に抜けるのを待つのが基本です。
3. 自分で抜いてもよい条件
ただし、以下の条件を満たしている場合は、自宅で抜くことも可能です。
-
乳歯がほとんど抜けかかっている
-
痛みや腫れがない
このようなときは、清潔なガーゼで歯をつまみ、やさしく抜くと安全です。
4. 自分で抜くリスクと注意点
乳歯を強引に抜くと以下のリスクがあります。
-
出血が長引く
-
傷口から細菌感染する
-
永久歯や歯茎を傷つけてしまう
抜歯はあくまで「自然に抜けそうな場合」に限りましょう。不安があれば小児歯科で抜いてもらうのが安心です。
5. 歯科医院を受診すべきケース
次のような状況では早めに受診しましょう。
-
抜けそうなのに数か月以上抜けない
-
永久歯がすでに顔を出しているのに乳歯が残っている
-
反対側の同じ歯が抜けているのに、片側が抜けない
-
乳歯が虫歯でボロボロになっている
歯科医院ではレントゲン撮影で永久歯の有無や位置を確認できるため、的確な対応が可能です。
6. 抜けた後のケア
乳歯が抜けた後は以下に注意しましょう。
-
出血が続く場合:清潔なガーゼをかんで10分程度押さえる
-
食事:硬い食べ物を避け、柔らかい食事を選ぶ
-
傷口の観察:赤みや腫れが長引く場合は歯科受診
-
乳歯の保管:日本では「屋根に投げる」などの風習がありますが、最近は乳歯ケースに保管する家庭も増えています
7. よくある質問(Q&A)
-
Q. 子どもの乳歯は無理に抜いていい?
無理に抜くのは避けましょう。自然に抜けるか、歯医者で処置してもらうのが安心です。 -
Q. 乳歯が抜けないと永久歯に影響する?
長く残ると歯並びが乱れたり、永久歯が正しい位置に生えにくくなります。また、むし歯や歯肉炎のリスクも上がります。半年以上様子を見ても抜けない場合は受診しましょう。 -
Q. 抜けた乳歯はどう保管すればいい?
乳歯ケースに入れて記念として残すのがおすすめです。清潔に洗って乾かしてから保管してください。
8. まとめ
乳歯は自然に抜けるのが基本ですが、なかなか抜けない場合には原因が隠れていることもあります。無理に抜かず、清潔に保ちながら様子を見ましょう。異常を感じたら早めに小児歯科を受診すると安心です。
正しい知識とケアで、子どもの歯の生え変わりをサポートしましょう。
Sora Dental Clinic 院長 新井敦貴
